2020年10月

CRPS(RSD)
CRPS(RSD)の基礎知識

CRPSは複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome)の略称で、RSDは反射性交感神経性ジストロフィー(Reflex sympathetic dystrophy)の略称。本学会がCRPS(RSD)という表記を採用している理由は世界疼痛学会(IASP)がCRPSという診断名を確立する以前、臨床現場で長く使用されていた旧い病名「RSD」が現在も使用されることがあるから。歴史的には末梢神経損傷後に生じる灼熱痛をカウザルギーと呼んだのが始まりで、その後神経損傷がないにも拘らず同様の症状を呈するケースが発見され、この両者において交感神経の異常活動とこれに起因する組織の萎縮が見られたことから反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と呼ばれるように。その後、交感神経の問題が必発でないことが分かり、同様の症状を呈する疾患群を総称して「CRPS」と呼ぶように。

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CRPS(RSD)
NDN(非シナプス性拡散性神経伝達)とは?

 一般に脳内の情報伝達はシナプスを介した信号のやり取りだと考えられています。 しかし、1990年代にBach-y-Ritaという研究者がNDNという新説を発表し、シナプス伝達以外の可能性を示唆しました。 NDNとはnonsynaptic diffusion neurotransmissionの略で、直訳すると「非シナプス性拡散性神経伝達」となります。 これはVolume transmission(拡散性伝達)-ホルモンにみられる液性調節と細胞外液での三次元的な信号の伝達という特徴を有し、ニューロンに依らない非シナプス性すなわち拡散性の情報伝達様式-のひとつです。

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