「絶対医学から相対医学へのシフト」シリーズ
❶〜SDGs+M(医療版SDGs)という視点~
❷〜ワクチン集団接種について考える~

❸〜運動器外来におけるミスリード“絶対矯正”~
❹~線形科学と非平衡開放系の同時併存はあり得ない~

個体差に応じた適切な投与量を考える

 今回の新型コロナでは、例えばファイザー製ワクチンは欧米人の体格を基準にしてワンショット量が決められ、工場内でアンプル化され出荷されました。ところが日本では欧米人との体格差が考慮されることなくそのまま同じ量が投与されています。

 日本人成人の平均体重は男性約70kg、女性約50kgに対し、アメリカ人は男性約90kg、女性約75kg。体重当たりに換算すると、日本人はアメリカ人の3~5割増のワクチンを打つことになります。

 欧米の研究ではワクチン投与量が増えると副反応も増大することが報告されており、特に欧米の女性に比して小柄な日本の高齢女性が欧米人と同量のワクチンを打つリスクについては議論の余地が残されているのではないでしょうか。

 仮に相応のリスクが内在するのであれば、こうしたリスクを回避するためにも相対医学へのシフトが希求されます。相対医学の下では、個人の体質や体重に合わせて投薬の質や量を変えることが基本中の基本になるからです。

そもそもウィルスとは何者なのか?

 カビや細菌は“食事”を摂り、“呼吸”します。栄養を取り込むことで自ら増殖するわけですが、一方でウィルスは食事も呼吸もしません。機能的にも構造的にも生物とは呼べない、別の何かです。

 これまで発見されているウイルスは約6,000種類であり、その中でヒトに感染するものは数百種程度と言われています。しかし未発見のウイルスがどのくらいあるのかまったく分かっておらず、実際の種類が最終的に何万種類あるいは何十万種類になるのか予想すらできません。
 
 地球上には無数のウィルスが存在しており、例えば1ミリリットルの海水の中に数千万から数億個のウィルスがいます(1989年ノルウェーの研究チームが発見)。さらにヒトの皮膚や口内から腸内に至るまで、人体のなかにも想像を絶する量のウィルスが棲んでいます。

 進化の過程でヒトの祖先に感染したレトロウイルスは胎盤機能の基礎を造ったと言われています。母体由来の白血球から胎児を守るための境界壁(胎盤の膜構造)を構成するための“細胞融合促進分子”の設計図、この下地となる“吸着促進分子”はレトロウイルスによって人類にコピーされたものだと考えられています。

ワクチン集団接種は個人健康上のトレードオフを強いるやり方

 ウィルスは古来より人類と共生してきた存在です。絶対的な悪という視点は偏ったものの見方であり、ウィルスの中には腸内細菌にポジティブに作用するタイプが発見されており、さらにウイルスがクロモゾーム(染色体)に組み込まれることで、その動物がウイルスに対して抵抗性を持つことが報告されています。

 そもそも宿主を即殺させるというのは自身の増殖機会を奪う矛盾した行為です。ウイルスにとって宿主の抵抗力が想定外に弱かったときに起きるのが感染死と考えれば、インフルエンザやコロナのようなタイプのウィルスは健全な免疫機能を持つ人類に限って言えば、生命の脅威となり得ないわけです。

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