はじめに
一方、後者の例としては五感刺激系のすべて~視覚系(例、ガボールパッチやカラーセラピー)・聴覚系(例、トマティスメソッドやオルゴール療法)・口腔系(例、PoNS)・運動覚系(例、ボデイワーク)・触覚系(例、タッチングやタッピング)~に加え、光線療法を含む電気治療機器などが挙げられます。
当会が推奨するBReINは複数の技法から成る統合療法であるため、この両者を含みますが、その8割以上を入力系が占めています。
当記事では、
インプット・オリジン仮説(Input origin hypothesis)

上図に示したとおり、
また消費エネルギーの観点からも、出力(意識的活動)最低レベルの状態すなわち安静時に活動するDMNのエネルギー量が意識活動の数十倍(20倍という報告がある)に及ぶことからも、基本的に出力系より入力系に多くのコストを費やしていることが推断されます。
下の動画をご覧いただくと「入力優位の脳」について理解を深めやすいと思います。
生物の入出力システムに関するチキンオアザエッグの視点~基本的に生物の情報処理は「
その解は「
さらに精神系から運動器系に至る様々な症状(障害)の原因論に関しても「
似た用語に「インプット仮説」がありますが、これは第2言語習得に関する仮説であり、当会が唱える「インプット・オリジン仮説」とはまったく異なる概念です。
インプット・オリジン仮説を支持する具体例
世の中には本仮説の証左とも言うべき事例が数え切れないほど存在しますが、ここではその例をいくつか挙げておきます。
最も分かりやすい例として、先天性のろうあ者の方が正確な発語能力を獲得した事例はないという事実(聴覚と発声の関係性)、同様に先天性の全盲の方が色の違いを想い描く(出力する)ことはできないという事実(視覚と色彩感覚の関係性)が挙げられます。
またトマティス理論も本仮説の有力な証左だと言えます。
<トマティスの三法則>
1.
2.
3.聴覚の改善後、発声の改善も定着させる事ができる。
上記については、当会が事あるごとに取り上げるノーマンドイジ氏の著作「脳はいかに治癒をもたらすか」の第8章で詳細に語られています。声が出せないという出力異常に対して、出力(発声自体)に介入するよりも入力(聴覚)に介入するほうがはるかに効果的であることが非常に分かりやすく記述されています。
また当会が唱える「
関節受容器の働きは関節内圧の制御システムを兼ねており、これは“
このときディープインパクトの余韻が想定外に長く続くケースがあり、
こうした生体に自律神経の機能異常が合併すると、交感神経が支配する筋血流が不安定になり、場合によっては筋萎縮となって顕現します。ここに強い痛みが付随すると分かりやすいCRPS(RSD)となり、強い痛みが付随しない場合は筋委縮やソフト・ディセンス(錯感覚)が前景に立ち続けることになります。
ヒトが訴える“しびれ”はソフト・ディセンスとハード・ディセンスの2種類に大別される。前者はいわゆる錯感覚であり、後者は神経脱落症状である。
こうした症例におけるソフト・ディセンス(錯感覚)や筋委縮に対しては「絞扼性神経障害」と誤診されやすい傾向があり、当会は「しびれ=神経圧迫」という先入観に警鐘を鳴らしています(➡関連動画)。
少し話が逸れましたが、「
出力系の介入全般に潜む問題点
入力異常が起点となって、結果的に出力異常を来している症例に対して、出力側のみに介入してしまうと、どんなに本人が努力しても空回りするケースがあります。そもそも入力レベルでエラーが起きているのですから、たとえ出力を変えることに成功したとしても、入力の問題が置き去りにされたままでは、元の木阿弥になりかねません。
実はここにも絶対医学の闇が潜んでいると言えます。個体差を重視する相対医学であれば「方法論に対する親和性」という次元、すなわち「
出力に介入するということは、どうしても「訓練、鍛える」というベクトルに傾きやすいわけですが、ここにまさしく超個体差という次元が潜んでいることを本来は重視すべきなのです。
例えば、昨今流行りの投球フォーム動画分析アプリや動作解析システムを利用するやり方には大きな問題が隠れています。これに関してはこちらのページ「絶対医学から相対医学へのシフト❸~運動器外来におけるミスリード“絶対矯正”~でより深く掘り下げていますので、是非ご一読ください。
確率共振と引き込み(エントレインメント)、そして「痛みの機能的結合性仮説」
入力系が神経回路の再配線を促すメカニズム、すなわち脳弾塑性を発現させるプロセスを考える上で、確率共振や引き込み(エントレインメント)は非常に重要な視座となります。
確率共振については、動画ページ【一般講演会】「BFIとは何か?」の中の第2部において、詳しく解説しております。引き込み(エントレインメント)については動画ページ【定期セミナー講演】「引き込み(entrainment)による臨床効果~NHK映像資料の供覧~」をご覧ください。
また、これらのベースにある原因論として、当会が掲げる「痛みのクロスモダリティ仮説~機能的結合性(functional connectivity)という視点~」があり、これを知ることで理解が深まりますので、是非ご一読ください。

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