関節7つの精密機能(目次)
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➡関節1)応力を分散させる免震機能-関節包内運動-
➡関節2)振動を吸収する制震機能-脳を守る骨格ダンパー-
➡関節3)衝撃をブロックする断震機能-関節内圧変動システム-
➡関節4)関節軟骨の神秘-“知的衝撃吸収”機能-
➡関節5)関節軟骨の神秘-驚異の摩擦係数-
➡関節6)潤滑オイルの自動交換システム-滑膜B型細胞の“受容分泌吸収”機能-
➡関節7)関節受容器によるフィードフォワード制御
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番外編
➡関節は振動エネルギーを熱エネルギーに変える変換装置!?
➡膝関節の内圧は陽圧?陰圧?

 
 関節液は潤滑液としての役目以外に、軟骨に栄養を供する働きも担っています。そのため関節液には血液ろ過液(毛細血管から滑膜を通って浸み出してきた血清成分や細胞成分など)とともに、もちろん主役となるヒアルロン酸も含まれます。

 また関節液中には細胞組織や結合組織の挫滅組織片などの代謝産物つまり老廃物も混在するため、これらは滑膜に吸収されて処理されます。

 ここで問題となるのは注入と排出のバランスです。この両者の平衡が維持されていれば、関節液は常に一定に保たれるわけですが、それが崩れると定量オーバー(関節水腫)あるいは不足という事態になってしまいます。しかも究極の摩擦係数を維持するため、同時にその“質”も保証しなければなりません。つまり液量と粘度の両方を一定に保つ必要があるわけです。

 温泉のように、源泉の注ぎ口と排水管が別々にあれば、注入と排水の経路に疑問の余地はありません。また毎分ある一定量が注がれ、それに合わせて湯船から溢れ出たものが自然と捨てられるという状況であれば、注入量と排出量の関係も単純明快です。

 しかし関節の場合、蛇口と排水口が同じ場所(両方とも滑膜)にあるため、流入と流出の関係が温泉のように単純ではありません。さらに蛇口は開きっぱなしなのか、何かのタイミングで開くのか、どういう頻度で注がれるのか、そしてどういうタイミングで排水されるのかという点においても、関節の機能はあまりに複雑すぎて、医学的にも未解明の部分が多いのです。

 BReINの臨床効果および関節受容器の組織学的特徴や働きを踏まえ、関節液の代謝メカニズムに対して、筆者は一つの仮説を持っています。もちろん科学的な立証はなされていませんが、とりあえず現時点における私の考えを披歴させていただきます。

 当初、関節液の分泌と吸収についていろいろ調べてみましたが、私が求めるものはどうしても見つかりませんでした。そこで思い至ったのが「機能的に似ている他の組織ではどうなっているのだろう?」ということでした。そこに何らかのヒントがあるかもしれないと考えたのです。

 で、まず頭に浮かんできたのが“脳脊髄液”です。

 《2)振動を吸収する制震機能-脳を守る骨格ダンパー-》においても解説していますが、脳脊髄液(以下“髄液”と略す)はいわば液性クッションとして、脳・脊髄全体を守っています。それ以外の役割としてはいろいろ言われていますが、はっきりしたことは分かっておりません。 

 髄液は無色透明の液体で、主に脳の中心部にある小さな空間(脳室の脈絡叢)から分泌され、脳・脊髄のすべてを覆って循環しています。排水に関しては、脳のてっぺんにある小さな袋(クモ膜顆粒)やクモ膜下腔の静脈やリンパ管などを通して吸収されます。髄液の全容量は130~180mlくらいですが、1日に分泌される量は約500~600mlなので、入排出のバランスから1日に3~4回ほど入れ替わる計算になります。

 髄液は密閉された空間(クモ膜下腔)の中を流れていますので、当然内圧-髄液圧-があります。これは力んだり、咳をしたり、内頸静脈を圧迫すると容易に上昇します。

 実は髄液の注入と排水のバランスは、この内圧によってコントロールされていることが分かっています。髄液圧が112㎜Hgのとき、注入と排水が等しい平衡状態にあり、これより圧が上がると排水量が増加し、圧が下がると排水量が減少することで常に一定の量を保っているのです。

 つまり髄液は24時間供給状態にあり、排水だけでバランスを取っていることになります。「蛇口は開きっ放しで、排水口の開閉だけで調節している」というイメージです。そのため脳や脊髄の至るところに吸収スポットがあり、通常の排水量の数倍にも及ぶ予備能力を持っています。

 次に“眼房水”について考えてみたいと思います。これは眼球のなかで、角膜と水晶体のあいだを満たしている無色透明の液体で、栄養の供給と老廃物の回収を行っています。

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